全労働年代の大半を占める中小企業サラリーマンは、出世して役員になっても、出世しなくても、結局は豊かで幸せな生活にはたどり着けません。
それぞれのケースでの休暇・所得の実例をあげながら、労働収入の限界について解説します。
■出世しない大多数の会社員
●中年以降段階的に所得が切り下げられる
現在の新しい法律では、60歳で定年した社員を65歳まで再雇用する義務が企業には課せられています。
そして、61歳からの給料は60歳の定年時の給料を基準にして計算されます。
企業としては、余分に5年間雇用しなくてはいけないので、トータルでの人件費を下げる努力が必要となります。
一般的に多いのが、55歳で役職定年や職能給カットを行い、ベース給与を下げるとともに、退職金もカットし、61歳以降の再雇用の給料も下げていくという手法です。
会社員側としては、子育てが終わり、これから老後資金を貯め始めるタイミングが55歳前後なので、たまったものではありません。
しかし、会社側としては60歳まで満額で雇用すれば、本当は雇用したくなたい65歳までの人件費が高騰するので、たまったものではありません。
そのようなことで、僕が在籍する中小企業においても55歳での大幅給与カットが行われており、様々な悲喜こもごもが渦巻いています。
僕自身も55歳で給与カット予定なので、そのタイミングで退職するつもりです。
いずれにせよ、出世しない会社員には豊かで幸せな老後はありませんが、貯金ではなく投資をしていくように発想を転換すれば、悲惨な老後を送ることを避けることができます。
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■出世した一部の会社員
●法律で保護されない役員になり時間を大きく奪われる
一見、勝ち組のように見えますが、そもそもキャッシュフローの少ない中小企業では、メリットよりもデメリットのほうが上回ります。
所得に関しては年収ベースで100万円ほどアップし、55歳での所得ダウンもありません。
ただし、週一回程度しか休めなくなり、さらには労働基準法で保護されなくなるので、そもそも55歳以降、60歳以降で在職できている保証がなくなります。
年間で50日前後休暇をロストするとして、所得アップ分の100万円を日割り計算すると2万円程度です。
アルバイトの日当と大差ない上、税率も上がることを考慮すると割に合いませんね。
実際、中小企業の雇われ役員の方々は、心身ともに追い込まれ、本来あるべき「生きるために働く」という在り方から大きく逸れ「働くために生きる」状態になっているケースも少なくありません。
こうなっては、何のために働いているか意味不明になってきますよね。幸せな人生とは言えません。
しかし、これが自分の時間を切り売りするしかない、労働収入の限界なのです。
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●権利収入がなく失職すると無収入になるから
出世しない会社員も、出世した雇われ役員も、なぜ豊かで幸せな人生にたどり着けないのでしょうか?
それは、会社の権利=株式を保有していないからです。そして、会社員はもちろん、役員でも株主配当のみで生きていけるだけの株式を、給料で買い集めるのは到底不可能です。
このため、いずれの立場においても、働き続けなければ所得が発生しない労働収入に依存するしか方法はなく、結果として「会社が潰れたら路頭に迷う」という恐怖感から、不利な条件での雇用を継続し、未来を削りとられていくのです。
でも、冷静に考えてみてください。
もし、会社が潰れたとしても、会社員や雇われ役員は会社の株主でもなく出資者でもありません。
何の損益も発生しません。
不利な条件での雇用契約を結ぶのはもうやめましょう。
そんな、出口も未来もないトンネルからは抜け出して、豊かで幸せな未来のために、自分のための権利収入を構築することを強くおすすめします!