缶詰めやカレーなどの土産品はもちろん、刺身や鍋を提供しているお店もあるそうです。味にはかなり癖があり、「臭い!まずい!」とのレビューもちらほらと…。
しかし、クジラ肉が好きな人であればきっと気に入って頂けるはず!今回はネットで入手したこのトド肉を使用し、実際に刺身と唐揚げで食していきたいと思います。
野性味あふれる北の珍味!一筋縄ではいかない…?
その他、トド肉の歴史や栄養価等についても詳しくご紹介。漁業関係者からは「海のギャング」と呼ばれ忌み嫌われている「トド」。定期的に駆除を行なってもトド肉の消費が追い付かず、現地ではその新たな活用方法が課題になっているとか…!?野性味あふれる個性豊かなご当地珍味「トド肉」。是非一度ご賞味あれ。
「トド」とは?
漁業被害相次ぐ!?アシカ科最大「海のギャング」
「トド」とは、ネコ目・アシカ科・トド属に属する鰭脚類の一種です。体長約3m、体重は約1tにも及び(雄成体)、アシカ科の中では最も大きくなる種となります。世界中の水族館で飼育されており、そのダイナミックさなどから非常に人気の高い海獣類となっていますね。自然界では通常十数頭程度の群れで行動していますが、繁殖期になるとおよそ1000頭近い個体が集まり、その中で雄は複数の雌を確保します。
環境省により作成されているレッドリスト(絶滅の恐れがある野生生物に関する図書)においてトドは「準絶滅危惧種」に指定されているものも、日本においては彼らによる漁業被害の増加から、年間の駆除頭数制限内であればその駆除が許されています(漁業関係者からは通称「海のギャング」と呼ばれている)。
なおこの行動は国際的に強く非難されているとのこと…網を食い破り、魚を横取りしてしまうトドの被害は見過ごせませんが、世界規模の中で考えると生息数が減少してきているという今の現状…なかなか難しい問題ですね。
「トド」の栄養価とその歴史
古くからある食文化!不飽和脂肪酸を多く含む癖強い肉
トドの肉には、血液をサラサラにし動脈硬化や心筋梗塞を予防すると言われている今大注目の成分、高度不飽和脂肪酸(DHA・EPA)が多く含まれています。この高度不飽和脂肪酸は体内で作り出すことのできない必須脂肪酸の一種であり、魚の油に多く含有されているというのは有名な話ですね。「Fish oil(サプリメント)」として市販されるぐらいですから。すなわち、そうした魚を餌とするトドにもその成分が含まれているわけです。高度不飽和脂肪酸には血液サラサラ効果以外にも、脳細胞の活性化や抗ガン・抗アレルギー作用、中性脂肪等の成人病予防などなど、様々な効果があるとされています。またトド肉にはこの高度不飽和脂肪酸以外にも、皮膚や粘膜を健康に保ち、目にも良いとされているビタミンAが豊富に含まれています。これだけ見ると非常に魅力的な食材に感じますが…問題なのはその味。残念ながら、万人受けする味とは言い難いものがあります。
魚の栄養を蓄えた巨体
「トド」料理の実食レポート
刺身と唐揚げ、調味料を駆使して臭みを消してみよう!
さてそれでは実際にトドの肉を使用した料理を作っていきたいと思います。今回入手したのはこちらのトド肉ブロック。赤みが強いというか赤黒く、パッと見た感じはクジラ肉を連想させますね。何となく、タンのような歯ごたえを期待してしまいます。しかしいざ切ってみると…なんか硬い!一般的な生肉を切る感じとは違いますね。やや半解凍ぐらいの方が切りやすいと思います。今回は半分を刺身用に薄く切り、残り半分は唐揚げ用としてサイコロ状にカットしていきます。
唐揚げ用はサイコロ状に
刺身はすぐに食べますが、唐揚げは後日。というのも、トドの臭みを消すために一晩調味料漬けで寝かせおきたいからです。ショウガ・ニンニク・酒・しょうゆ・オレガノ・ローズマリーを加え、よく混ぜ合わせた後ラップで蓋をして冷蔵庫へ。頼んだよ!!
唐揚げ用の肉は調味料に漬けて一晩冷蔵庫へ
刺身はしょうゆで頂きますが、癖を少しでも和らげるべく、ショウガとワサビ、そして大葉も用意しました。そうですね、完全にビビっています。さて、不人気だと言われているトド肉のお味とは…?
気になるそのお味は?
癖が無くジューシー、食感も素晴らしい!
大葉&ごま油&しょうゆ&ネギ
ごま油の香ばしい風味がアクセントになり、一味違ったおいしさに。「これはいける!」と思ったのもつかの間、数回噛む内に、再び口の中はトドの世界に占領されてしまいました。恐るべし、さすが海のギャング!
それでは最後に唐揚げを食していきます。一晩置いた肉に片栗粉・小麦粉・卵を加えて混ぜ合わせた後、油へGO。これはかなり濃い味付けになっていると思うので、期待大ですね!
やや色黒な唐揚げの完成!
早速実食します。おお、美味しい!ハーブとその他調味料たちが良い感じに調和して、トドの臭みを和らげてくれています。これはなかなか…おや、しかし噛めば噛むほど...残念、再び口いっぱいにひろがるトドの世界。上手くいくと思ったのですけどね。生の状態の時からもっと下ごしらえを頑張るべきでした。
しかし嫌いな味ではなかったですよ!いい経験にもなりましたね。皆様も是非一度ご賞味あれ!